シルックの「わ」

シルックの「わ」シルックの「わ」

柄の面白さを打ち出した
「kifkif」のコレクション

私のシルックきものとの出会いは、仕事で絽ちりめんのシルックに袖を通したときのこと。風合いや着心地の良さが想像以上でしたし、汗をかく夏でも洗えるのが心強くて、すっかり気に入ってしまいました。

その後、うれしいことにシルックきものの商品開発にかかわるようになり、丸3年が経ちます。コレクション名の「kifkif(キフキフ)」はフランス語で「どちらでも」「同じように」という意味。きものでも洋服でもいいし、ふだん着でも礼装でもいい。おしゃれをして自由にどこへでも行ける……そんな感覚を表しています。

私にとってきものは“おしゃれ着”で、好きだから着るもの。お稽古着や礼装ならルールに則ることも必要ですが、そういう向きのものは、すでにシルックきものに豊富にありました。でも、おしゃれ着に制約はありませんから、もっと柄の面白さを楽しめるものが欲しいなと思って。ありがたいことに、「kifkif」では自分が着たいと思う好きなものしかつくっていません(笑)。

柄の面白さを打ち出した「kifkif」のコレクション

愛する古いモノたちに
インスパイアされて

愛する古いモノたちにインスパイアされて

「kifkif」のデザインの源は、ビンテージのきものや洋服、骨董の器など、自分の好きな古いモノが多いでしょうか。今日着ている「すすき」柄は、小村雪岱(こむらせったい/大正~昭和初期に活躍した画家)の作品にインスパイアされたものです。

ただし、いろいろな個性や好みの人に着てもらえるように、古典モチーフのもの、洋服感覚のもの、アンティーク帯が似合うもの、ドレッシーな飛び柄など、バリエーションをもたせて、毎シーズン選ぶ楽しみのあるラインナップを意識しています。まだまだつくりたいものは山ほどあるので、これからも着ていて気分が上がるようなシルックきものをつくっていきたいですね。

私自身は、シルックとそれ以外のきものを着分けるという感覚はありません。シルックでも絹ものでも、素敵な柄であれば着たいし、そのとき着たい柄を選んでいるだけなので。でも、我が子のお食い初めでは「瑞雲」柄のシルックに袋帯にしました。やっぱり汚しても安心ですから(笑)。

愛する古いモノたちにインスパイアされて

きものスタイリスト・大川枝里子

きもののスタイリスト・着付け師として、雑誌や広告を中心に活動。2020年夏シーズンより「kifkif」としてシルックのきもののプロデュースを手がける。骨董の器やビンテージ家具など古いモノを愛し、主宰するウェブサイト「kifkif.me」では、きものの楽しみのほか、昔ながらの日本のモノ・コト・暮らしについて紹介している。