シルックの「わ」

シルックの「わ」シルックの「わ」

古典柄×現代の色が
「大久保信子流きもの」

今日着ているきものは、シルックで一番のお気に入り。長年シルックきもので「大久保信子流きもの」をプロデュースしていますが、これは最初の年につくったもの。黒地はスマートに見えるし、「七宝に宝尽くし」の柄なので、おめでたい席にも重宝しています。

プロデュースするうえでは、古典柄を大事にしています。長い歴史のなかで残ってきた柄は、やっぱり飽きがこないし、きちんと見えるのよね。ただし、色づかいは洋服の流行色も意識しつつ、現代の色にするよう心がけています。同系色は1色と数えて3色までにまとめて、すっきりと。そのほうが小物合わせもしやすいんです。

今の人は洋服でセンスを磨いておられるから、帯や小物との色合わせも洋服のセンスでよろしいのではないかしら。ただ、きものを着るときには、ぜひ柄や色の季節感を考えて。花の柄を着たときには、その花になったような気持ちで、季節ならではの装いを楽しんでほしいですね。

古典柄×現代の色が「大久保信子流きもの」

普段のお出かけはシルックで

シルックきものの一番の魅力は、自宅で洗えて、ノーアイロンでいいところ。まさに「ウォッシュ・アンド・ウェア」ですよね。私もたくさん持っていますけど、他のポリエステルに比べて、しなやかで裾さばきも良くて、見た目には絹と区別がつかないくらい。自分にとって手放せないきものです。

私がシルックを着るのは、儀式ではないお出かけや歌舞伎観劇、お稽古など。なかでも裏地をつけない単衣(ひとえ)仕立てのシルックは、とても便利。今は温暖化で単衣のシーズンが長くなっているし、ふだん着ならルールにこだわらず、暑ければ冬に単衣を着たっていいと思うんです。

きもの初心者さんにも、シルックがおすすめですよ。雨でも心配ないし、人混みや食べこぼしも気になりません。最初は着つけが下手だっていいから、着て出歩くことが上達の近道。失敗を恐れず、自分に似合う着こなしを探してみてくださいね。

普段のお出かけはシルックで
普段のお出かけはシルックで

きものスタイリスト・大久保信子

1976年に着物雑誌の制作に関わり、日本で初めて「きものスタイリスト」として紹介される。以降、雑誌・広告・テレビなどで幅広く着物のスタイリング・着つけに携わる。常に着る人の立場に立ち、その人の美しさを最大限に引き出す技術に定評がある。日本舞踊を嗜み、伝統芸能や江戸文化にも造詣が深い。